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その目を捨てていいのか

SpaceDaily

 日本語のページではあまり無い、HSTの現状についての分析記事が出ているようなので目を通してみました。

 コロンビアの再突入失敗以前から計画されていたHSTことHubble Space Telescopeの延命処置ミッションですが、その後シャトルそのものの安全性と用途の更なる限定に、大統領による科学ミッション軽視の政策変更よって諦めるか、別の延命処置を取るかの選択を迫られているNASAですが、ことHSTに関してはシャトルで延命処置をする際の安全性ではなく、HSTの価値が判断基準として重要なようです。

 1990年にスペースシャトルによって軌道に投入され、以後4回にわたる補修と改良を受け、5回目は2003年の2月1以前にはすでに計画されていました。コロンビア最後のミッションは、軌道上の国際宇宙ステーションとのドッキングは行われませんでした。

 その後の調査によって、再突入失敗の原因は離昇時にはがれ落ちた外部燃料タンクの断熱材が時速500マイルでシャトル左翼の前縁に激突して穴を開け、再突入時にその破損部分に応力が集中して構造破壊に至った事が分かったのはそろそろ忘れた人が多いでしょう。

 その後29の改良点が指摘され、そのうちの15は運用再開までに施さなければならない事になりました。再開は現時点では2005年の3月から5月の間と見られています。それらは外部タンクからの剥離物を完全防止する事や、打ち上げ中のシャトルを外部から監視する事、再突入前に耐熱部分の点検を行う事、破損が見つかった場合の修理方法の確立などを盛り込んでいます。

 NASA長官は、それらすべてを満たした上で運用再開する事を確約しました。

 また、事故調査委員会はこの30年以上昔の乗り物が未だに実験機である事、改良の道半ばである事を指摘し、それを認めたNASAは、2010年前後と見られる国際宇宙ステーション完成後はシャトルを退役させる事を決定しました。

 去年春にNASAが示した最も効果的な再発防止策は、飛行回数を減らす事でした。事故総数を減らすには事故発生率を下げるのではなく、飛行回数の総数を減らす事だと言うわけです。

 NASAは再突入前の”儀式”を宇宙ステーションからの分離前に行う事で、代替の帰還手段を待つ事ができるとも指摘しています。

 もちろん、破損修理機材を積んで飛べばその分シャトルのペイロートは減ってしまいますし、破損した『危険な』シャトルと宇宙ステーションのドッキングも、宇宙ステーションに2台のシャトルを同時にドッキングさせる事もテストしていません。

 そしてそれらの問題は、HSTが寿命を迎える2007年春までにそれらすべての改良を完了できるかという事です。『間に合わないかもしれない』と本気で心配している人は少なくありません。
 それらが、オキーフNASA長官がHSTを見捨てる選択をした理由です。

 Barbara Mikulski上院議員は事故調査委員会に改良点再検討を依頼しました。3月5日の回答は、『危ないからなるべく飛ばさない方が良い』というものでした。

 その後オキーフ長官が無人ミッションによるHST延命措置を指摘したのも、そろそろ忘れている人が多いでしょう。独立調査委員会はシャトルを使った延命措置も選択に入れるべきだと指摘し、『宇宙ステーションとのドッキングもHSTとのドッキングも危険性なら変わらない』との立場を取っています。『安全ならシャトルでも良い』というわけです。
(いかにも政治家らしい無知で無責任な言い様ですね。HST修理ロボット開発予算を新たに出したくないだけでしょうが)

 NASAが受けるプレッシャーは並大抵のものではありません。

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